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年末調整の計算方法とは?手順や必要書類について紹介

給与を支払う際には、所得税などを源泉徴収しています。しかし、年間を通して見ると税金の過不足が生じていることがあります。そこで、毎年10〜11月に年末調整をして過不足があった場合の税金を返金、または追徴します。今回は、年末調整の計算方法について必要書類とともに解説します。

年末調整の計算方法とは

そもそも年末調整とは、納める所得税額の差分を求めることです。給与を支払う際、会社は所得税などの税金を差し引いた額を支給しています。毎年10〜11月になると、1年間の納税額に差額が生じていないかを計算し、多く支払っていた場合には還付、不足していた場合には追徴をして差額をなくします。

会社は、すべての従業員の年末調整の計算をして税金の過不足を確認しなければならないのです。

年末調整で対応できる所得控除

所得控除は15種類ありますが、年末調整で対応できる所得控除は以下の5種類です。

なお、年末調整で対応できない所得控除は、従業員それぞれの判断で確定申告をします。

年末調整の計算手順

年末調整の計算は、以下の手順で行います。

  1. 給与支給額・社会保険料・源泉徴収税額を計算する
  2. 給与所得額を算出する
  3. 課税給与所得額を算出する
  4. 所得税額を算出する
  5. 住宅借入金等特別控除額を差し引く
  6. 年調年税額を算出する 
  7. 年調年税額と源泉徴収税額を比較する

それぞれの手順について詳しく解説します。

給与支給額・社会保険料・源泉徴収税額の計算

まずは、給与総額を集計します。その年の1月〜12月の1年間で受け取った給与・賞与・手当が給与総額です。通勤手当は集計対象に含まれないためご注意ください。

年末調整は10月から11月にかけて行われるため、まだ確定していない給与もあります。この場合は、これまで支払われていた額から見積額を算出しましょう。

次に、給与から天引きした社会保険料を集計します。給与から差し引いたもの、賞与から差し引いたものをそれぞれ計算し、総額を算出してください。

さらに、給与や賞与から天引きした源泉徴収税額も集計します。

給与所得額を算出

次に給与所得額を算出します。給与所得額の計算方法は以下の通りです。

給与支給額 – 給与所得控除額 = 給与所得額

給与支給額は最初に算出した給与総額のことを指します。また、給与所得控除とは給与所得を受けているすべての従業員に適用される控除のことです。控除額は給与総額によって決まります。そのため、あらかじめ給与総額を算出しておくのです。

課税給与所得額を算出

次に、算出した給与所得額から所得金額調整控除と所得控除額を差し引いて課税給与所得学を算出します。課税給与所得額の具体的な計算方法は以下の通りです。

給与所得額-所得控除の合計=課税所得額

なお、算出された課税所得額の1,000円未満は切り捨てます。

また、所得金額調整控除は「子供・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」と、「給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除」の2種類があります。年末調整の対象となるのは、「子供・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」のみです。

所得税額を算出

次に、所得税率の掛け算をして所得税額を算出します。具体的な計算方法は以下の通りです。

課税所得額 × 所得税率 – 控除額 = 算出所得税額

なお、課税対象の所得金額が1,000円〜1,949,000円の場合は税率5%、控除額0円であるのに対し、課税対象の所得金額が1,950,000円〜3,299,000円での場合は税率10%、控除額97,500円となります。

住宅借入金等特別控除額を引く

住宅ローンの適用2年目以降の従業員は、住宅借入金等特別控除の対象となり、控除の手続きが必要です。適用される従業員がいる場合は、以下の計算式で住宅借入金等特別控除額を差し引きましょう。

算出所得税額 – 住宅ローン控除 = 年調所得税額

なお、適用1年目は従業員自身が確定申告をしなければなりません。念のため該当する従業員がいる場合は、確定申告の旨を伝えてあげましょう。

年調年税額を算出

次に、年調年税額を算出します。この際、忘れずに復興特別所得税を加えてください。復興特別所得税とは、東日本大震災の復興を目的として設けられた税金のことです。2013年から施行され、2037年まで課税の対象となるため、2037年までは忘れずに復興特別所得税を加算しなければなりません。

年調年税額の計算方法は以下の通りです。

年間所得税額 × 102.1%(復興特別所得税率)= 年調年税額

なお、算出された年調年税額の100円未満の単位は全て切り捨てます。

年調年税額と源泉徴収税額の比較

源泉徴収税額と年調年税額がそれぞれ算出できたら、両者を比較して過不足を精算します。

具体的には、年調年税額が源泉徴収税額を下回っている場合、税金を過払いしていることとなるため差額分を還付しなければなりません。一方で、年調年税額が源泉徴収税額を上回っている場合は税金の支払い不足であるため、差額分を徴収しなければなりません。

年末調整に必要な書類

年末調整の計算に必要な書類は、基本的に以下の4点です。

源泉徴収票は対象者のみ必要となるため、従業員は念の為保管しておき、必要な場合のみ提出してもらいましょう。

年末調整の注意点

年末調整をする際には適切な計算が必要ですが、適切に計算するために覚えておきたい注意点があります。そこで最後に、年末調整の注意点を2点ご紹介します。

定額減税の適用

定額減税が適用される点に注意が必要です。

そもそも定額減税とは 2024年4月1日に施行された「令和6年度税制改正法」に盛り込まれた制度のことです。急激な物価上昇に伴う政策の一種で、1人あたり所得税3万円+住民税1万円の計4万円が減税されます。

所得税における定額減税の対象となるのは、以下の要件に全て該当している人です。

勤務している多くの人が定額減税の対象となります。この際、定額減税額を再計算して年税額から控除しなければならないため、計算する際には注意が必要です。

国税庁(https://www.nta.go.jp/users/gensen/teigakugenzei/index.htm)

必要書類を保管する

年末調整をするためにはいくつかの書類が必要です。この際、従業員には生命保険や損害保険などの控除証明書は破棄せずに保管してもらうように伝えておきましょう。なぜなら、年末調整の申告書を提出しないと所得税の過払い分が還付されなかったり、各種控除が受けられなくなるためです。
必要書類がないと、適切に年末調整ができなくなったり、申告書を提出できなくなるためご注意ください。

まとめ

年末が近づいてくると、会社側は全従業員の年末調整をしなければなりません。特に2024年は、定額減税によって算出方法が例年と若干異なります。

改めて対象となる所得控除や算出方法を確認し、従業員全員の年末調整を適切に進めましょう。

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